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高温機器の冷却設計

高温機器の設計

加速器においては、電子、陽子、放射光が照射される部分が多くあり、機器の健全を保つため一般的に冷却水による冷却構造となります。弊社では温度分布解析を行い機器使用時の温度を確認し、発生応力をJIS B 8266 圧力容器の構造ー特定規格にて評価し、安全性を確認しています。
温度分布解析においては、熱伝達率を入力する必要がありますが、弊社では以下の値を使用しています。


・機器表面から大気への熱伝達率:5~15 w/m2・k
・冷却水への熱伝達率 hfc:
  hfc= λ・Nu/d 
    λ:冷却水平均温度の水の熱伝導率(W/m・K) 
    d:相当直径(m)
    Nu:ヌセルト数
ヌセルト数は冷却水の条件により数種類の計算式があります。

・コルバーンの式
・Dittus-Boelterの式
  0.6<Pr<100、5×103<Red<5×105
  滑らか円管内を流れる十分発達した乱流の熱伝達の簡便な式
・Sieder-Tateの式
・西川&藤田の式 
  冷却面温度が沸点に近い場合

水冷構造の解析例

1) 陽子ビーム窓の設計
陽子ビーム窓はヘリウム室と真空室の隔壁に設置され、大強度の陽子ビームが通過する時に陽子窓が高温になります。弊社では陽子ビームのエネルギー分布から温度分布と発生応力を評価し、健全性を確認しています。


  • 陽子ビーム窓冷却水路(水色部)

  • 温度分布解析結果
    (水冷により最大49℃となっています)

  • 応力解析結果
    (最大応力41N/mm2となっています)

2)高熱密度放射光用アブソーバ―
お客様の御指導を受け、高熱密度の放射光用アブソーバーの温度分布解析を行い、冷却性能の健全性を確認し製作しています。放射光アブソーバーは放射光の受光面を材質をアルミナ酸化物分散強化銅合金として、内部を水冷する構造としています。受光部は400℃以上の高温となり熱応力が発生しますが、アルミナ酸化物分散強化銅合金は高温の強度が高いため、JIS B 8266 圧力容器の構造ー特定規格の応力評価を満足しています。


アブソーバー内冷却水路(水色部)

温度分布解析

アブソーバー内冷却面温度分布
(冷却面最大温度154.5℃)

熱応力解析