脱ガス処理とは、材料の表面や内部に残留、溶存している気体分子を放出する工程です。脱ガス処理にはいくつかの種類がありますが、ここで紹介するのは「真空ベーキング処理」についてです。
真空ベーキング処理は、主に真空状態で使用される「真空チャンバー」などの部品に施されます。真空ベーキング処理の「ベーク」は焼くという意味で、真空状態で加熱できるオーブンのようなものと想像すればわかりやすいでしょうか。
真空ベーキング処理では、炉内を真空にした状態で数百度の高温に加熱します。「真空+高温」という状況下になると、材料に付着した気体分子がガス化されます。付着分子をガス化させることによって、付着物を材料から脱離させることが可能です。これが「脱ガス処理(真空ベーキング処理)」と言われる工程です。
材料から出てくるガス成分のことを「放出ガス」と呼びます。「アウトガス」と呼ぶ場合もあります。
基本的に脱ガス処理を行う製品というのは、真空中で利用される「真空チャンバー」や「真空部品」などが主です。これらの真空で利用される製品は、脱ガス処理をしていないと、製品の隙間やタップから、もちろん材質の表面からもどんどんとガスを放出してしまいます。真空状態にしようとしても製品からガスが出てきてしまうという状況になるため、高真空にできない問題が発生します。
その他、真空中で利用するような製品ではガスが放出されると、ガスが一点で凝縮してしまう場合があります。凝縮したガスが原因で測定機器や電子機器との干渉が発生する場合があります。
これらの問題が発生する前にガスを抜いてしまうのが脱ガス処理です。
放出ガスは大きく分けて2つの種類があります。
吸着ガス
吸蔵ガス
それぞれの違いについて紹介していきます。
放出ガスを抑えるには、次の3つが対策としてあげられます。 ・真空ベーキング処理 ・洗浄 ・表面改質
放出ガスを抑える方法は先程あげた3つがありますが、最終的な処理となると「真空ベーキング処理」となってきます。
主な真空ベーキング処理の主な利用用途としては、
・真空チャンバー・真空ポンプなどの真空製品の脱ガス・脱脂
・電池材料の脱ガス・乾燥
・半導体部品の乾燥・ベーク
・航空・宇宙関連製品の脱ガス
などがあげられます。