5G+/6G向け高速通信用 PTFE基板材料(銅膜付)
5G+/6G向け高速通信用 PTFE基板材料(銅膜付)
次世代移動通信システムである5G+/6Gは超高速データ通信、超低遅延、多数同時接続ができるようになり、海や山での通信やリアルティのある仮想現実の実現などが可能になる。これまで携帯電話サービスなどで使われてきた4Gの通信速度は1G bpsであったが、6Gは100G bpsが必要になるといわれる。
そこでコミヤマエレクトロンでは、ビッグデータ処理や高速通信に適した表1に示すPTFE基板材料を開発し、市場への供給を目指している。
表1 5G+/6G向け高速通信用 銅膜付きPTFE基板材料
ポリテトラフルオロエチレ(polytetrafluoroethylene:PTFE)はフッ素原子と炭素原子が強固に結合したフッ素樹脂である。 一般的にテフロンと呼ばれている。PTFEの特徴は耐熱性(~300℃)、非粘着性、耐薬品性、絶縁性、耐候性があることから自動車部品やフッ素コートなどに活用されてきた。また、PTFEは樹脂の中でもっとも電気特性が優れていることから、ポリイミドまたは液晶ポリマーに代わって5G+/6Gの用いる高速通信用基板の基材として期待されている。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレンは疎水性材料であるため銅との密着性に課題があった。そこで当社では独自の表面処理技術によって疎水性のPTFEの表面を親水性に変えることにより銅の密着を高めることが可能になった
《参考》
・ポリイミド(PI)
ポリイミドは1960年にアメリカのデュポン社によって開発されたイミド結合を主鎖に持つポリマーの総称である。ポリイミドの特徴は耐熱性(~500℃)、機械強度、電気特性、耐薬品性に優れており高い温度でも物性特性が変化しない。このことからポリイミドは電気、電子製品の半導体や自動車部品や人工衛星の部品など様々産業で長く活用されてきた。
しかし、5G+/6Gの用いる高速通信用基板の基材としては、ポリイミドの持つ電気特性では不十分なためポリイミドに変わる基板作成が求められている。
・液晶ポリマー(LCP)
液晶ポリマーは液晶性を持つポリエステルである。液晶ポリマーの特徴はポリイミドよりも電気特性が優れているにも関わらず、ポリイミドの物性と類似していることから、既存の製造装置や製造条件にて適用ができることからコスト面でも優位性がある。優れた物性から5G向け高速通信用基板として実用化されている。
シート厚0.2 mmで片面、両面で表面改質したシートに銅鍍金を行ったときの、シートと銅の密着度(ピール強度)の計測を行った。鍍金厚15 mmの条件で片面は0.8 N/mm、両面で0.51 N/mmを得られた。試験幅は5 mm、試験速度は50 mm/minである。
両面銅鍍金の場合
片面銅鍍金の場合
70G Hzから90G Hzまでの高周波における伝送損失の評価を行った。コミヤマエレクトロン製(当社が開発した表面処理を施した)のPTFE基板(KPT-C01)は、76G Hzにおける伝送損失は-81 dB/m、90G Hzでは-80 dB/mという結果となった。また、比較用銅膜付きPTFE基板では76G Hzにおける伝送損失は-95 dB/mであり、本方式の基板が伝送損失量において優れていることを実証できた。
・フレキシブル基板の作成
0.05 mm厚のPTFEに15 µmの銅箔をつけた両面フレキ基板である。金色に光って見えるのが表面の配線である。黒く見える線は裏面の配線で、PTFEが薄いため半透明になり、透けて見えている。このように薄い基板であっても銅を鍍金でき、基板を製作できることを実証できた。
・L&S基板の作成
0.2 mm厚のPTFEを使ったパターン線幅50 µmのL&S基板である。配線の間隔が均等になっている。